数字遊びのお時間。
だけど初手でつまずかれると面倒だから、まず “フェルミ推定” とは何かを片付ける。
フェルミ推定は、ノーベル物理学者エンリコ・フェルミが好んだ「紙ナプキンの裏で済む」ざっくり計算術だ。
大事なのは完璧なデータではなく、
- 問題を細かく割る
- それぞれに常識的な仮定を置く
- 掛け合わせて桁をつかむ
——この3ステップ。
今回の題材は女性用風俗(通称 女風)。
まず前提になる数字を並べる。
- 対象母集団:経済力とニーズが見込める20〜49歳女性=約2,500万人
- 利用率:タブーの分厚さを踏まえて0.05%
- 利用頻度:月1回(年間12回)
- 単価:120分コースで2万円
掛け算すると、アクティブ客は約1.25万人、年間利用15万回、市場規模は約30億円。
供給サイドは全国にセラピスト約8,000人。
週2本入るだけで年間83万本打てる計算だから、現状は“人余り”が濃厚。
2030年・2040年・2050年に向けては年3〜5%のゆる成長が本線——
そういうシナリオを、この後の本文でぶった切っていく。
これがフェルミ推定の醍醐味。
「だいたい合ってりゃ十分」。
肩の力を抜いて読み進めればいい。
目次
分解 ― そろばんに並べるコマ
| 要素 | 中央値で採る数 |
|---|---|
| 対象人口 | 2,500 万人(20〜49 歳の女性) |
| 利用率 | 0.05 % |
| 利用頻度 | 月1回=年12回 |
| 単価 | 1 回2万円(120 分) |
式はいつものとおり。
市場規模 = 人口 × 利用率 × 回数 × 単価
ステップ計算 ― 指を折る
- アクティブ客数
- 2,500万人 × 0.0005 = 1.25 万人
- 年間利用回数
- 1.25万人 × 12回 = 15万回
- 年間売上
- 15万回 × 2万円 = 30億円
オーダーは 3 × 10¹⁰ 円。
クロスチェック ― 供給側から殴る
- セラピスト 8,000人
- 本業・副業まぜこぜで、週2本だけ入るとする
- 8,000 × 2 × 52 = 83万回/年
需要15万回に対し、供給は5倍超。
現状は人余り気味。
フル稼働してるのはごく一部と考えると整合する。
上下の幅 ― 最悪とご祝儀
| パラメータ | 下振れ | 中央 | 上振れ |
|---|---|---|---|
| 対象人口 | 2,000万 | 2,500万 | 3,000万 |
| 利用率 | 0.03% | 0.05% | 0.10% |
| 回数 | 12回 | 12回 | 12回 |
| 単価 | 2万円 | 2万円 | 2.5万円 |
| 市場規模 | 14.4億円 | 30億円 | 90億円 |
2030年・2040年・2050年の姿 ― 伸びしろシミュレーション
| シナリオ | 年成長率 | 2030 年 | 2040 年 | 2050 年 | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 下振れ | 2% | 16億 | 19億 | 24億 | タブー継続・規制強化 |
| 中央 | 4% | 37億 | 54億 | 80億 | 緩やかに認知拡大 |
| 上振れ | 7% | 126億 | 248 億 | 490億 | SNSバズ+富裕層開拓 |
※ 起点は2025年の推定値。単位はすべて「円」。
6. ざっくり解釈 ― 結局どうなる
- 2030 年
- 中央シナリオで30→37億円。
- 需要はまだニッチ、供給は余り気味。淘汰が進む。
- 2040 年
- 50億円台に乗るかどうか。
- 成長ドライバーは「体験価値の高単価化」か「地方・オンライン開拓」。
- 2050 年
- 中央で80億円。
- 人口減少で母数が縮む一方、タブーがさらに薄れれば上振れ余地。
- とはいえGDPの海に溶ける微粒子レベルに留まる。
7. 結論 ― ニッチ市場のまま、ゆるく膨張
- 今の規模は 30億円前後。
- 成長率は 年 3〜5 % が現実線。爆発はしない。
- セラピスト 8,000 人は多すぎ。稼働率を上げるか単価を吊り上げないと食えない。
- 参入するなら「客数の拡大」より「体験単価アップ」で勝負。
…はい、おしまい。次の数字遊びがあればまた呼んで。



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